北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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制定され、北海道では八九年に富良野・大雪が承認された。リゾート法には、高度経済成長期の反省の上に立って「ゆとりある国民生活」や過疎化に対する「地域の振興」がうたわれている。しかし一方では、この法律をきっかけとしていわゆるリゾートブームが起こり、それらの多くで自然破壊と経営の悪化・破綻を引き起こし、非持続的な開発であったとの批判もなされた。そうした中で、資料25は占冠村のリゾート開発の経過を述べたものである。占冠村のリゾート開発は、リゾート法施行以前から過疎の克服を目指して村民のコンセンサスに基づいて進められ、一定の人口増が見られるなど、当時としては成功事例であったと目された。また、もう一つの事例が資料26のニセコ周辺である。ニセコ地域がリゾート法による承認を受けるのは全国最後になる一九九八年であるが、この間全国的にあきらかになってきた様々な問題点の反省の上に立って開発が進められたと評価される。このようなリゾート開発の動きに対して、道として一定の評価と指針を示したものが資料27である。ここではそれぞれの開発構想について評価しつつも、全体として環境や景観形成への配慮などが必ずしも十分ではないと指摘し、あわせて地域活性化の視点が重要であるとしている。指摘されているのはテーマ性についての主観的見通しの問題点であるが、それは同時に観光開発における第三セクターという方式の問題点でもあった。経営責任の所在があいまいなまま自治体が公共投資と危険負担を引き受け、巨額の財政赤字をもたらす事例が生まれ、その反省がそののち地域における観光開発のありかたに大きな影響を与えることとなった。以上のような戦後の経過を踏まえた道の観光振興計画の一つの到達点が資料29である。ここでは「観光産業は本道の主要産業」であるとし、日本の「大きな変革の時代を迎え」て「観光を北海道発展のための重要な柱」資料28に示されるように、バブル期に各地に叢生したテーマパークの多くはそののち経営困難に直面した。ここで第三節 北海道観光の見直し874第9章 金融・観光・サービス業【観光】  

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