この点については、『通商産業政策史7業調査会、二〇一三年)が詳しい。全国共通の問題であっただけに公営ギャンブルに財源確保策を求める動きは広がり、北海道においても進んだ。資料34には、財源を確保したい地方行政側の公営ギャンブルへの期待の高さが滲む。観光業に直接関連する業種は旅行業、航空・鉄道などの交通業、宿泊施設、動物園・スキー場などの観光施設等である。間接的には、観光客消費関連の飲食店、土産の製造業や販売店などが含まれる。すそ野の広い産業を包含する観光業の特性がここに現れている。航空路が整備される一九六〇年代から増える道外観光客の、宿泊業の接客サービスに対する不評は、道内外から北海道観光業への期待が高まる中で看過できないものになっていった。が示されている。とりわけ、東京オリンピック開催を目前にし、サービスの悪評は紙面を飾るイシューとなった。同じ『北海道新聞』一九六一(昭和三六)年一一月二日付「旅館経営者、初の講習会」は、サービス改善のため業界挙げての解決策が講じられ、反響を呼んだことを伝えてくれる。ただし、その対応に不可欠な従業員教育を困難にする制約が、雇用の特徴的なあり方にあった。宿泊業のサービスに携わる仲居の働き方を説明してくれる資料36は、洞爺湖温泉の有力旅館、萬世閣の社史からの抄録である。仲居たちの座談会から、この時代と地域に規定された特徴、属性、独立職人に似た雇用条件が分かる。給料体系の変化も示される。その後の給料のあり方は、資料37から読み取れる。大雪山国立公園、層雲峡地区に関する記述では仲居の教育が強調されているが、求人難の時代には容易ではなかった。資料38によると、冬季の激しい価格競争は、観光のオフシー資料35が伝える苦情には、当時の旅館業のサービスの水準と道外観光客をつかむため対応しなければならない課題機械情報産業政策』(通商産業政策史編纂委員会編・長谷川信編著、経済産第二節 北海道観光と宿泊業の課題878 第9章 金融・観光・サービス業【サービス業】
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