北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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言しますれば、地方の資金を地方企業に導入させることを助けるとともに、大都市の取引所では取引されない証券類を正当な市場に提供するには、ぜひとも北海道内に証券市場を開設することが必要であるというのであります。その第二の理由は、証券業者と投資者からの方面であ   において業者をして証券取引の妙味を発揮させ、一般道りまして、御承知のように終戦後北海道の経済力の異常な進展に伴いまして、道民の証券熱は一段と高まり、同時にその保有量は自然的に増加し、証券業も日を追って発展して参りましたが、なにしろ北海道と東京市場とは遠く離れておりますので、通信、輸送、経費などの点から取引上非常に不利不便であったのみならず、またこの間に種々弊害も随伴しまして業者は堅実な経営ができませず、投資者も取引上不安があったのであります。ここ民に証券民主化を普及するとともに、これら投資者の利益を保護するためには、どうしても道内枢要の地に取引所を設置しなければならないというのであります。かくいたしまして、北海道に証券取引所設置の要望はまさに世論化しましたが、ここに重要な問題は設備の点でありまして、御承知のとおり東京をはじめ大阪、京都、神戸、名古屋、広島、福岡、新潟など既設の取引所と異なりまして、当初はなんら既存の設備を持ちませず、しかもこれが新設にはばくだいな資金を要しますので、ここに至ってせっかくの計画もまさにざ折せんとしたのでありましたが、幸いにも北海道庁と札幌市の非常な御配慮によりまして、敷地と建物について特別の御便宜を受くることとなるに至って勇気倍加し、さらに上場関係その他有力会社の御厚意によりまして、大略資源の見通しがつきましたので、昨秋三菱地所部設計ならびに施行によって工事を進め、一応諸設備が完成するに至ったしだいであります。これよりさき、昨昭和二四年九月一〇日発起人代表北海道証券業協会理事長岩崎武雄の名をもって、北海道知事、札幌市長、札幌銀行協会会長、札幌商工会議所会頭の御賛助の下に、証券取引委員会に対し札幌証券取引所888第9章 金融・観光・サービス業【金融】

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