北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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この分野に於て本道経済の発展に寄与しようというのが、890設立の根本理念とされているのである。従つて取引の対象も自ら当行とは別個の分野に向けられるべく真向から当行と競争的立場に立とうとする趣意ではないように思われるのである。唯当行が普通銀行として、その機能を必ずしも長期金融分野にのみ局限しあらざる今日、本資料に述べられている如き長短金融の明確なる分業が、果して何らの摩擦なく行われうるや否やは甚だ疑問とするところである。かく考えるとき、両銀行の間に或程度の競争は当然予想される所であるが、問題はこの競争の結果が、本道経済にプラスとして作用するか、マイナスとして作用するかである。四、新銀行設立に対する当行の対策新銀行の設立が積極的に推し進められている今日、当行としてこの際当行の業務運営を反省する必要に迫られていると思われる。なんとなれば新銀行設立の気運が本趣意とは凡そ左の如きものである。即ち本資料第二節「新銀行の性格」の中で「本道の資源と産業構造から見て、本道には工、鉱、水、林、畜等を対象とする産業金融形態の銀行と商業金融形態の両性格の銀行分野を必要とするものであるが、曽ての北海道拓殖銀行が果し得た不動産金融乃至は長期金融機関は充分にその機能を発揮し得ない実情である。従つて本道としては機能を発揮しうる長期金融機関と併せて短期金融機関の増設を希望するものであるが、歴史的に見て拓銀が長期金融の使命達成によつてその特質を生かし、今回新設の銀行は短期金融機関として道民の輿望に応えうるものでありたいと思う」とあり、第一節に於て立証されている「銀行新設の必要性」からも読みとられる通り本道の金融機構は極めて不満足な状態にあるが、これが打開は既存の拓銀のみをもつてしては到底望み難く、むしろ金融機構を二つの分野に分割して、拓銀には長期金融を担当せしめ、短期商業金融は新たに一銀行を設立して、これを担当するを至当とし、新銀行は〈中略〉第9章 金融・観光・サービス業【金融】    

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