道の経済界の要望を担つて居る限りに於て或は又過般の新銀行設立の準備過程に於ける発起人等の言明に於ても、従来の既設銀行就中当行が本道の経済界に与えておる金融上の使命に欠くるところあつたことを指摘していることは、其の事の当否はさておいて慎重に反省しなければならないと思われるからである。新銀行設立の趣旨によればその念願とするところは本道経済の育成ということであつてこの点については全く当行と志を同うするものであると云えよう。この限りに於ては当行は新銀行と相提携して即ち協力して本道経済界に貢献しなければならないのである。元来金融機関は公共的性格を持たざるを得ないのであるが、特に本道の産業が原始的であつて資本の蓄積が低段階にあるところから強く要請せられていると云わざるを得ない。この意味に於て地元銀行である当行も新銀行も当然本道産業の振興を目的とせざるを得ないのであつて、単なる営利会社の如く盲目的な自由競争による営利の追求を目的とす〈中略〉ることは出来ないのである。1.北海道総合開発第一次五ケ年計画書における構想立法的措置を要するものは多々あるが、その中でも特に重要なものは、開発に要する長期資金の調達であらう。これについては特に北海道開発金庫(仮称)の設立が必要不可欠の方策となるであらう。しかしてその構想は次にのべる如くである。北海道総合開発事業を推進するためには、その事業の性質上、公共事業費が所要資金の核心となるのであるが、891第1.公庫の構想北海道開発金庫(仮称)の構想(北海道立文書館所蔵 北海道総合開発委員会事務局『北海道開発金融公庫(仮称)に関する構想(その1)』一九五四年B六四一七九)6 北海道開発公庫の設立経緯 -第1節 金融制度の体制整備と経済成長
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