北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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北海道金融の特質を何にもとめるかは、人によつてそれぞれ異るであろう。しかし、私は次の六つの点からとらえることとする。すなわち、(1)当座預金の相対的不足性、(2)金融機関の高金利性、(3)預貯金の相対的不足性、性、(6)産業資金の季節変動性もちろんこれらは、相互に相関連するものであるばかりでなく、北海道経済の特質を反映するものであり、北海道金融の後進性を物語るものである。またこの中に、北海道開発の一つの隘路が存在するわけである。そこで北海道金融の特質とその地位統計研究会『北海道金融の特質とその地位』一九五七年北海道の開発のためには、道外からの資金流入を必要とされる。そしてそれが民間資金であるか、財政資金であるか、またその投下される対象が何であるかによつて、北海道経済に与える影響は自ら異なるものであろう。そのように考えてくると、北海道金融の特質は経済の実体からの反映であるばかりでなく経済の実体にも影響せしめるものである。㈠ 金通貨と預金通貨との関係で説明されている。すなわち先進国などは預金通貨の占める割合が高くなつている。しかし一国内の地域をとつてみると、そのような分析をなすことに限界があることは既に述べてきたところである。そこでやむなく市中銀行の全預金、当座預金との比率で求めると第一表〈略〉の如くである。すなわち全国平均に比して北海道の場合、極めて当座預金の占める比率が低くなつている。もちろんこれは、北海道はまだ現金経済に偏しており、信用経済が未発当座預金の相対的不足性金融的後進性は、まず一般に、一国の場合には、現〔北海道金融の特質とその地位経済構造研究部会委員三宅武雄〕7 北海道金融の特質とその地位第1節 金融制度の体制整備と経済成長(1)(4)産業別貸出の不均衡性、(5)中小金融機関の相対的優越893     (2) 

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