達であることによるものと思われる。それは、道内には大企業が存在しないこと、中小企業が多いこと、地域広大の割に金融機関が少いこと、小切手の流通が容易でないことに依る。㈡ 金融機関の高金利性金融的後進性の指標としてバイナーなどは、高金利性を挙げている。それは資本供給が不足であることによると一般に考えられている。しかしこの場合、需要の側面も考慮する必要がある。殊にその危険性を考えなければならない。いま、地元および全国平均の銀行貸出の金利別構成をみると、第三表〈略〉の如くである。これから一般に北海道の地元銀行の貸出金利が高いことがわかる。そのことはさらに第四表〈略〉の各銀行利廻りからうかがわれる。すなわち拓銀、道銀の人件費の占める割合が極めて高いことによるものである。このような高金利性は、第一に優良な大企業が存在しないこと、第二に地域が広くその上生活費が高い〈中略〉ためにコストが高くつくことなどによる。次に相互銀行についてみると、第五表〈略〉の如く、貸出金利廻りが全国平均を上廻つているが、人件費率が全国平均を上廻つている。それに反し、信用金庫についてみると、第六表〈略〉の如く、全国平均から下廻つていること留意すべきである。㈢ があげられる。それは、第一に所得水準の低位性によるものと思われる。そこでまず、銀行一般預金でも、金融機関預金でも、第七表〈略〉の如く、全人口のうち北海道人口の占める五・三%の割合を下廻つている。それは一銀行店舗当りの預金高の全国平均が一億四、四〇〇万円であるのに反し、北海道では一億〇、八〇〇万円であることや、一人当り預金高の全国平均が六万円であるに反し、北海道では四万六、〇〇〇円であることからもうかがわれる。これは次の理由によると思われる。預貯金の相対的不足性第三に金融的後進性として、預貯金の相対的不足性894第9章 金融・観光・サービス業【金融】
元のページ ../index.html#908