〈略〉の如く、第一次産業への貸出が全国の場合より第一に、地域が広大な割に金融機関が少なくて預金するのが不便であるためか、現金で持とうとする意欲が強いためか、いずれかの理由で預金がなされない。第二に、所得は多いが、寒冷地および物価高から生活費が上昇するので預貯金の余裕がない。第三に、道内資本による法人企業が少ない。すなわち、第八表〈略〉の如く全国に比して、法人所得の国民所得に占める比率が低いことからして、当然法人預貯金が少ないことがわかる。㈣ 産業別貸出の不均衡性次に、銀行貸出の業種別割合をみると、第九表圧倒的に大きく、第二次産業への貸出が少くなつている。それをさらに第一〇表〈略〉の金融機関貸出別割合からみると、ますます第一次部門への貸出割合が大となつている。それは、第一一表〈略〉の金融機関別の部門貸出割合からもうかがわれる。すなわち第一次部門への農林金融機関の大なる役割から当然のことである。それはさらに、農林中央金庫の全国貸出に占める北海道の割合を示す第一二表〈略〉から明白なことである。低いことがわかる。ただ第三次産業への貸出が多いのは、商業部門あるいは地方公共団体への貸出が多いことによる。商業部門への貸出が多いのは、仕入先の内地から遠距離にあることによるものであり、地方公共団体への貸付は地方財政の赤字によるものと思われる。㈤ ると第一三表〈略〉の如くである。預金においては、相互銀行、信用金庫、農協、漁協、郵便局が全国を上廻り、銀行、信託が下廻つている。貸出においても、相互銀行、信用金庫、農協、漁協、商中、開銀が全国を上廻り、銀行、信託が下廻つている。またさらに、第一四表〈略〉の全銀行貸出中に占める中小企業貸出の割合をみると、全国の三五%を大きく上廻つている。895これから北海道における工業のウエイトが農業より中小金融機関の相対的優越性一九五六年における金融機関別の預金貸出割合を見第1節 金融制度の体制整備と経済成長
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