か思えない。いくら本道は観光ブームとはいえ、航空機など輸送手段が足かせとなり、観光客の増加にも限度がある。実施・計画中の百数十カ所ものリゾート施設が、すべて採算性を保つのが無理なのは容易に想像できる。リゾート開発が地域振興にあまり結びつかず、むしろ財政負担と自然破壊をもたらす、との指摘もある。冷静に考えれば、監察局に指摘されるまでもなく、開発計画をもっと絞り込まなければならないのは明らかだ。 これを妨げてきたのは、狭い地域主義と他より先んじたいという意識だと言っていい。広域行政は下水道やし尿処理だけが対象とは限らない。地域振興という最重要課題こそ広域行政として取り組み、各地域の機能分担を図りながら開発計画の調整を進めるべきものと考える。地方自治の立場から言えば、近隣市町村が自主的にそうした取り組みをするのが望ましい。が、先を争って開発計画が走り出している現在、自主調整も難しい状況にある。そこで道の役割が重要だ。監察局の報告でも、リゾート開発に対する道の基本方針が明確でない―と批判し、広域的な指導道は昨年、リゾート開発指針やゴルフ場開発規制要綱を策定したが、過熱した乱開発に歯止めをかけるほどの効果を上げていない。今月にはいり、開発計画の現状や問題点を把握し指導する現地調査にも乗り出した。これも遅きに失した対症療法と言わざるを得ないが、なお事態改善の努力は必要だ。自然環境への影響や近隣地域の計画との関係、採算性などを厳密に調べ、不適切な計画は厳しく見直しを指導し、広域的な観点から大胆に絞り込んでもらいたい。岐阜県では、乱開発を防止するため県内全域の「ニュ • た重点的な開発を進めようとしている。本道にそのままー・リゾート基地構想」の青写真を描き、これに基づい当てはめるのはもう難しいにしても、検討に値する取り組みだ。調整を求めている。77第1節 地域開発
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