には九月中間期決算数字が公表される予定であるが、その直前の唐突な発表だった。道内経済へ大きな影を落とす景気回復が本格化しない道内経済全般に与える影響については、計り知れないほどのものがある。帝国データバンクの調べによると今年に入ってから一〇月末までの道内企業の倒産件数は七七八件、負債総額は二、五七七億一、九〇〇万円で、社数、負債総額とも既に昨年一年間分を上回っている。金融機関のクレジットクランチが全国的に指摘されている中で、道内でも貸し渋りが顕在化している。北海道の基幹銀行が実質破綻した今回の事態は、こうした現状にさらに輪をかける事態ともなりかねず、年末にかけ資金需要が旺盛となる中小企業にとって他人事ではなくなったのである。拓銀の発表資料各 位 〈中略〉平成九年一一月一七日株式会社 株式会社北海道拓殖銀行(頭取河谷禎昌)は、当行の北海道地区における業務を他の地元金融機関の協力を得つつ、株式会社北洋銀行に承継願うことを決定いたしましたので、お知らせいたします。また本州地区の業務については既存の金融機関に承継していただくベく今後の検討に委ねられることとなります。最近の当行に対する信用不安から来る格付の低下や株価の低迷に加えて、金融機関等の経営破綻の影響を受けて、短期金融市場からの資金調達が急速に困難となり、資金繰りが行き詰まる事態に立ち至りました。当行としては業務の継続が困難であると判断せざるをえず、このまま放置すれば当行の主要地盤である北海道経済に計り知れない悪影響を及ぼし、お客様や関係各方面に多大なご迷惑をおかけすることは必定であります。こうした状況を受け、これまで当行が果たしてきた金 北海道拓殖銀行融および決済機能を円滑に維持し、地域経済の混乱を回当行の業務を北洋銀行など他の金融機関に承継願うことについて906第9章 金融・観光・サービス業【金融】
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