北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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検証 拓銀破綻後の道経済の行方グループ関連企業の行方拓銀の系列ノンバンクであった、たくぎんファイナンスサービスが札幌地裁に特別清算の申請を行ったのが一二月五日のこと。同じ系列ノンバンクのたくぎん抵当証券㈱が拓銀破綻が明らかになった翌日の一一月一八日に急遽、自己破産を行ったのとは対照的だ。たくぎんファイナンスサービスはバブル期に他のノン   バンクと同様、不動産業者向け融資を活発化させていたが、その後、同部門は縮小策を取り、ファクタリング部門に特化していた。債権の回収代行業務を手掛けるファクタリング部門は道内全域にユーザーを有し「将来的に拓銀破綻の影響と金融体制帝国データバンク札幌支店『帝国ニュース 道版』№三五四六 一九九七年一二月一五日北海も有望な事業」(同社役員)であり、親会社の拓銀からの金融支援を得て、業務改善に取り組み平成九年三月期では年収入高三二億六、九〇〇万円に対して、経常利益五億一、六〇〇万円を計上するなど収支面の改善が進んでいた。しかし、拓銀の破綻の影響は大きく、拓銀破綻直後の「基本的には清算整理の方向」(同)のコメントのように、早い段階から同社の先行きについては決まっていた感もする。しかし、ファクタリング業務という性格上、突然の清算はユーザーの資金繰りに悪影響を与える可能性もあることから、業務に支障が生じないことを見極めてからの措置となった。系列ノンバンク二社が早くも破綻したが、拓銀の関連会社でリース、金融附帯業務などの「たくぎん」の名を冠する実務型企業が、今後何社位、生き残れるかにも注目が集まっている。先の系列ノンバンク二社は拓銀の大口融資先に該当するが、このほかに道内でバブル期に拓銀が大型のプロジェクトファイナンスを行ったものの融資は固定化して大幅な赤字、債務超過計上を余儀なくされている企業が拓銀破綻の影響908第9章 金融・観光・サービス業【金融】(3) 11 

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