不動産、リゾート関連業者を中心に見受けられる。リゾート関連業者については、既に拓銀の傘下に入っている先もあるが、これらを北洋銀行が継承することは考えにくく、今後、具体的にどのような形で資産売却を図っていくかが焦点である。資産劣化につながる貸出は規制拓銀の九七年九月末の貸出金残高は五兆九、八三八億 ならない限りなく「グレーゾーン」に近い企業の行方で円。このうち、優良債権は北洋銀行にそのまま継承されることが決まっているが、注目されるのは継承が明確にある。貸付債権は回収の見通しに応じて正常、要注意先(二分類)、破綻懸念先(三分類)、実質破綻先(四分類)の四つに分類されるが、北洋銀行は三、四分類については受け入れず今後、預金保険機構が買い取る予定となっている。問題なのは、今後、三分類に移行しかねないグレーゾーンである二分類に位置付けられる企業の行方で、個別内訳および今後の動向を巡って様々な憶測が流れている。二分類には一般的には金利延帯等は生じていないものの、収益力に乏しく債務が過大で先行き返済能力に難が生じる可能性のある懸念先が分類されているといわれている。現在、拓銀には大蔵省より業務改善命令が出されており、不良債権の管理回収を図ることとあわせ、資産の劣化を招く貸出実行業務は大幅に規制されている。このためこれまで拓銀に依存してかろうじて資金繰りをつけていた企業の中で、早晩、先行き支障を来たす企業が顕在化する可能性は十二分に考えられる。また、道通産局が拓銀破綻後に通産省の全国調査の一環として行った、金融破綻による道内企業の資金調達と企業活動への影響度調査では、回答した三八八社のうち、融資条件の厳格化など金融機関の「貸し渋り」とも取れる対応を経験した企業は、二六%近くに及んでいることが判明している。全国的に銀行の貸し渋りが指摘される中での、拓銀破綻はやはり地域経済にとっては緊急事態なのである。地域の基幹銀行の破綻は客観的に見れば他の金融機関909第2節 北海道拓殖銀行の破綻とその影響
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