北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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席上ポパム大尉の所感於て見ることの出来ない風景を持つてゐるが公園内は一般に穢ないのは遺憾である、此後は衛生的に例へは飲料水下水を清潔にし蚊や蝿の生存しない様に努力せられたい。外人招致の為め立派なホテルを作るよりは衛生的によい日本旅館を作つて貰ひたい。特に享楽的な遊び場の設備より寧ろ風景に親しみ得る設備が肝要である。公園内で、其の地方におる動物を自然のまゝで見ることが出来る様にして貰ひたい。森林地帯と公園をうまく調和させて貰ひたい。魚釣りや乗馬の出来る設備もよい事である。最后に上原会長より北海道国立公園は先般貴衆両院に請願したが速かに指定ある様御配慮煩はしたいとの希望を述べ、同行の石神技官より、マ司令部は已設の国立公園の設備を完備した後に指定しては如何との意見もあるが、民間の盛り上る力で又大衆の健康上本国立公園外二箇所位は速に指定する心算で、特に本公園に対しては本局は指定の前提として北海道庁に指定に阿寒、大雪山共米国に就いて種々照会する様起案してあるので、若し照会が到着したら速かに参考書類添付回答して貰ひたいとの極めて有望な御話しがあつた。一行は同日登別温泉に到り、二十八日洞爺湖方面を視察、退道せられたのであるが本公園に対しては非常に好感を以て視察せられた由である。昭和六年内務省に於いて国立公園候補地として撰定の北海道中南部所在定山渓、登別、支笏湖、洞爺湖、羊蹄山一帯を抱擁する約十四万ヘクタールの地域を速かに国立公園に御指定あらん事を謹んで請願致します。理  国立公園指定請願書〈一九四八年五月一〇日〉請 願  書 ― 由〔支笏洞爺国立公園期成会〕「支笏洞爺国立公園期成会書類綴 二」一九四六~四九年(北海道立図書館所蔵)② 第1節 戦後観光振興の経緯917

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