北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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テーマパークの入場者減D-1209-9999-00026581道内テーマパーク今年も入場者減に泣くテーマ性がかみ合わず施設充実、ファミリー向けは健闘冬季休園で、ひっそりと静まり返るカナディアンワールド。経営母体の芦別市の第三セクター、星の降る里芦別(社長・林政志市長)の岡田辰雄副社長(市収入役)は「こんなに悲惨な状況になるとは…」とため息をついた。一九九〇年七月、石炭のまちからの脱皮の切り札として、小説「赤毛のアン」と十九世紀カナダの世界をテーマにオープンした同ワールドの入場者のピークは翌年の二七万人。以後、下降を続け、今年は十万七千人(前年『北海道新聞』一九九五年一二月二四日北海道新聞社許諾比三万六千人減)。単年度赤字は三億一千万円、累積では三十六億五千万円になった。開園したとたんに訪れたバブルの崩壊に加え、「アン」というテーマそのものに無理があったのでは、と経営陣。「赤毛のアンはデベロッパーから提案されたものだが、芦別とアンとの結び付きは唐突だったかもしれない」(岡田副社長)と自問する。登別市の天華園もテーマ性に頭を痛める。施設はバブル全盛期に計画された。「コンセプトは清朝皇帝の山岳別荘。忙しい社会の中でゆったりとした中国庭園の〝静の世界〟は受けると思っていたが、バブルがはじけて世知辛い世の中に」と、上田幸生総務チーフマネジャー。テーマパークに詳しい静修短大の越塚宗孝教授(観光学)によると、集客のポイントは「テーマ性とエンターテインメント(娯楽)性がうまくかみ合うこと」だ。       カナディアンワールドの場合、ファミリー向けの遊具がほとんどないことも痛手となっている。一方、帯広市のグリュック王国。昨年の入場者は一〇第三節 北海道観光の見直し28 第3節 北海道観光の見直し941

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