北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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〝白老コタン〟の移転本決まり場所はポロト湖畔 〝昔のままの姿〟を再現旭川市近文と並ぶ本道屈指のアイヌ部落〝白老コタン〟の移転が本決まりになった。道の調査団が先ごろ現地視察した結果、決まったもので、場所は白老駅裏のポロト湖畔。五月中旬から移転を始めて、むかしのままのコタンを作り上げる計画。いまの白老コタンは白老駅から五百メートルほど室蘭     に五十二の店舗が配置されているため非衛生的であり、寄りの海岸近くにあるが、せまい私有地のなかに無計画また〝真のアイヌの姿〟とはほど遠いものになっている。昨年ここを訪れた人は約六十万人、売り上げは一億六千『北海道新聞』一九六五年二月一六日第四節 観光とアイヌ民族万円にも上ったが、逆に観光客からの評判は落ちる一方。946これはこの五、六日行なった今田、犬飼両北大名誉教授、高倉北大教授らの調査結果だが、道観光課はこの現状から抜け出すため、白老駅裏のポロト湖畔にコタンを移すことにした。ポロト湖はナラ、カエデ、白カバなど自然木に囲まれた周囲四キロの湖。駅から六百メートルという便利な地点にあり、コイ、フナなどの魚、白鳥、ウグイス、仏法僧などの鳥類も多い。道の計画では湖畔の約十ヘクタールの国有地に資料館(敷き地一・一ヘクタール)、アイヌ小屋〝チセ〟(〇・六ヘクタール)、売店(一・九ヘクタール)、駐車場(三・三ヘクタール)を配し、アイヌの生活、風俗の再現と各種資料の保存、展示を行なうとともに、みやげ品店を設けて生計を立てさせる。湖畔全体を町民公園として開放、明るい観光地として育成したい、という。移転には約六千六百万円が必要だが、この費用は白老町が負担、そのかわり道としてはあらゆる角度からの指導を惜しまない。また融資、助成面でもできるだけの援白老における「ポロトコタン」の創設第9章 金融・観光・サービス業【観光】31 

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