もし学会が中止されることになると、間違いが間違いでなしに実在するかのごとく誤解される心配がある。世界の中では、ニッポンのイメージとして、フジヤマ・ゲイシャガール、ちょん髷、人力車を思ひ浮べる人々があると聞くが、事アイヌ人に関しては、外国人はおろか日本人ですら未開野蛮の民族と思っている人が多い。日本語を解せぬ者もいるかのごとく思はれている。事実に反した案内発送は遺憾な出来事であるが、その対策として、白老での視察は観光用のポロトアイヌコタンを対象とせず、生活の根拠地たる浜町に於けるアイヌ生活の実態を見て頂くことである。そのために格段の御協力を御願ひ致したいのである。而して、外国の識者に、「百聞は一見に如かず」、聞くと見るとではかくも異るものかを、知らしめたいと思ふ次第である。(北海道立図書館所蔵) かねてから懸案であった「文化対策」のための部会が、今年度の定例総会(昭五一年五月)で議決され発足しました。貝沢正(副理事長)・貝沢与一(監事)・杉村京子(理事)・成田得平(理事・部会長)の四名からなる構成で、さらに、萱野茂氏(二風谷アイヌ文化資料館)、藤本英夫氏(道教委文化課)の両氏に御助言役として加わっていただきました。北海道ウタリ協会は、創立三十年を迎えた今日「ウタ リの向上発展、福利厚生のため」に行なう事業のその大部分を、国や道などの行政側からの実施事業に依存してきました。それが、いわゆる『ウタリ対策』です。その事業の大部分はまた『福祉対策』であり、会の名称をアイヌからウタリに変えなければならなかった「アイヌの北海道の観光とアイヌ問題第一回実地調査報告書 北海道ウタリ協会『先駆者の集い』一四号文化対策部会長一九七七年一月② 北海道ウタリ協会の活動から第4節 観光とアイヌ民族949
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