北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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苦悩」を、根本から解消するために、対策・事業を進めるどころか、行政としての助言・指導もできぬまま、ついには協会名称変更に追従共存してしまう結果になってしまいました。今後は、協会と行政側の双方の自発的な熱意ある活動が相俟って、総合的な「民族対策」として発展させる必要があります。福祉型から総合型へ充実させるためには、それなりの理由と必要性がなければなりませんが、今までは潜在していたために表面に出なかっただけのことで、これからは大いに出現してくることでしょう。それは単に貧困の問題ではないこと、民族として、つまり文化として明確に主張することであり、文化対策部会の役割は、この意味においても大変に重要な仕事を持ったことになります。過去の事象もとらえ、現在に至るまでに、どのように       経過したか、そして今後「アイヌはどうあるべきか、つまりアイヌ文化はどうあるべきか」を位置づけをし、総合対策への指標としなければなりません。これらの考え方を提起するためには、何よりも昔からのより正確なアイヌ文化を把握し、それを継承するための新しい創造活動も必要になります。近代以降、多くの人たちによってアイヌ文化の研究がなされてきました。学究者はもとより、民間グルーブや個人の手によっても、地味に熱心に続けられてきました。しかし、このような「地味と熱心さ」ということにのみ、「アイヌ文化の研究」を負わせていてはいけません。ウタリ協会も、こぞってこれらに関心を持ち、より発展させなければなりません。「アイヌ文化をどうするか」は、アウタリ全体の問題であり、それは「アイヌの為のもの」でなければなりません。重要かつ困難な問題であり、大変な仕事であるとは思いますが、やれることからひとつずつ取組み、除)々に事業を重ね進めるのみでありましょう。協会創立三十周年にちなんで、三十周年記念誌編さん事業も進められています。貝沢正副理事長を中心に、五ヶ年計画で文化対策部会の仕事として位量づけられまし(ママ第9章 金融・観光・サービス業【観光】950

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