北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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た。さいわいにも、貝沢副理事長が文化対策部に入っておられますので、引続き記念誌編さん事業の中心推進役をお引受いただいています。協会内外からの御協力をいただきながら、立派な記念誌にするべく奮闘中です。さて、文化対策部会の取組みにあたって、何はさておいても真先に着手しようということで「北海道の観光とアイヌ問題」を取上げました。「アイヌ」ということが観光に悪用されているという不正常な事の問題解決もせずして、アイヌ文化対策などあろうはずもありません。昭和三十年代以降、急激に北海道観光が伸びると共に、「湖と熊とアイヌ」は、北海道観光に欠かせぬ重要?な観光資源として利用されてきました。北海道経済にとって、観光客の落とすお金は大きな収入源になっています。その面では大変な成果をあげたのですが、しかし、湖・熊・アイヌという当事者(物)にとっては、何ら有益ではなかったのです。湖に代表される北海道の大自然にとっては観光公害、熊にとってはありがた迷惑、ましてやアイヌにとっては、人権問題であり、アイヌ文化への冒瀆ということに直結し、悪い面だけが増長されたと言っても過言ではありません。観光行為や観光事業がいけないというのではありません。悪害の起こるあり方や方法に問題があるのです。観光事業が伸び、経済効果もあがった反面、観光資源にされたアイヌや、観光事業に全く無関係なアイヌまでもが、不快な忍耐を強いられてきました。このことについて、早くから、各界の人たちやアウタ    観光事業関係者、観光関係諸団体、関係市町村、ならびリからも機会あるつどに指摘されてきたにもかかわらず、に北海道商工観光部などの当事者が、今もってこの重大な問題を放置しているのですから、まったく驚くべきことです。文化対策部会は、これらの各方面の関係者に対しても責任ある当事者として、これらの問題に真剣に取組み改善するよう要請し、また必要とあらば、問題解決のための当事者との協力体制を組み、研究・講習などの方法を講じるなど具体的に進めたいと思います。 「北海道観光とアイヌ」に関する問題点は、要約する第4節 観光とアイヌ民族951

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