北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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戦後北海道経済の基本認識炭は国民経済、産業、生活の血液とも申すべく、之れなくしては産業の復興も、国家の再建も庶幾し得ざるものであります。茲に石炭関係従業者の御自覚と御努力並に道民各位の御協力に対し深甚の感謝と敬意を表すると共に将来一層の御奮闘を衷心より熱祷する次第であります。此の機会に家庭暖房用の石炭の価格に付いて一言致します。政府は過般之れが価格を一噸四百一円余に決定発表致したのでありますが、斯くの如きは家庭経済の実際に照し其の負担極めて重大なりと考へ、種々折衝の結果一噸二百円基準と致すことに閣僚諸公の諒解を得近く閣議決定を見る運びと相成つた次第であります。六、要  (北海道立文書館所蔵 北海道『北海道総合開発計画書』一九四八年A七 - 約 一 三六三四)日本再建の上に最も大きな問題は、過剰なる人口の収容と活潑なる経済復興の問題である。北海道は茲に開道八十年を迎えたと雖も、その開発せられたところは豊富なる資源に対し、なお僅かな部分に過ぎず、我国の資源包蔵の宝庫と言うべく、本道の開発は日本再建の一環として大きな意義をもつものである。而して本道の第一次産業である農、林、水産、鉱礦業の資源並に其の開発事情をみるに、先ず農業に於ては、今後開発すべき土地は約七十九万町歩にして、そのうち四十四万五千町歩を農耕地とすれば、現在の既墾地と合して将来の農耕地は百二十五万町歩、その農業戸数は二十八万六千戸となり、更に之等の農家は本道の特質たる有畜農業の形態をとるが故に、その飼育する家畜は牛馬合して約六十三万頭に達し、一戸平均二頭余となる。かくして本道の農業は有畜化によつて、戦時中より極度に低下した地方の恢復維持を図ると共に、土地改良の徹底的施行によつて農業の基礎たる耕地の整備を速急に行い、之に向上した科学的技術を応用して将来の総生産高(食8420 第1章 地域経済と経済政策

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