北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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本を代表するホテルの進出計画も明らかになるにいたって、組合は旅館とホテルが競合することなく円満に棲み分けることはもはや不可能と判断し、昭和五十四(一九七九)年に大規模ホテル対策委負会を立ち上げて、本格的な対応策の検討に入った。有力な手段の一つとして「中小企業分野調整法」を用いた進出抑制の研究が進められた。同法は中小企業が継続して行ってきた固有の分野に大企業が進出しようとした場合、中小企業側はその業種の主務大臣に調整の申し出を行うことができることを内容とした法律である。進出を阻止する強制力は持たないが、自主的解決のための話し合いを双方に求めており、大手ホテルを話し合いのテーブルに必ずつかせることができる。強いリーダーシップのもとで一致団結して戦えば、たとえホテル進出を阻止できなくとも、譲歩や協力を引き出すことは可能であるという意見が相次いだ。決議書を作成昭和五十五(一九八〇)年一月、理事会において反対札幌市における大手企業によるホテル進出は著しく、この度、京王帝都電鉄株式会社が札幌に京王プラザこのため、組合員の経営安定を図るために、「中小運動の是非を話し合ったところ、全理事がこれに賛成し、976中小企業分野調整法を根拠にした徹底的な反対運動の展開を決定した。すぐさま決議書を作成し、反対運動の展開を内外に表明した。【決議書】特に近々十数年の間に札幌市内における大型ホテルの進出、建設は異常なものがあり、従来より吾々組合員は非常な打撃を受け、経営の安定維持はまことに憂慮すべきものがあり、廃業のやむなきに至った旅館もでる過当な状況にあります。ホテル建設をすすめることは、吾々はその営業開始を極力阻止すると共に、今後如何なる大型ホテル、旅館の進出に対しても断固反対する。企業分野調整法」による調整の申し出を、厚生大臣に提出することを昭和五十五年一月十七日の理事会にお第9章 金融・観光・サービス業【サービス業】      

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