新日本建設の舞台に演ずる北海道の役割は、いよいよ重大性を加えつゝあります。無尽蔵と云はれる本道の海の幸と山の幸は、祖国のいたでをいやしつゝ、新しい平和文化の成長をたすける最も有力な基盤であります。それ丈けに、その開発は高き理想と雄大な構想の下に、計画的に、又綜合的になされることが必要であります。即ち、長期綜合開発建設計画が絶対に必要であります。而して、その開発乃至建設が綜合的でなければならぬと云うことに就いて、吾々の特に留意する所は、物心両面が綜合的に開発建設されねばならぬ、即ち、経済開発乃至は経済建設が綜合的に行はれねばならぬのは勿論のこと、政治、道徳、宗教等の各面がこれと一体となつて、有機的に開発されねばならぬと云うことであります。此のためには、此れ等開発乃至建設の一切の基盤たる 教育建設が、緻密な計画の下に推進されねばならぬことは言を俟ちません。就中此の綜合開発乃至建設が極めて高度のものを目指して推進されるためには、ここにあくまで豊かな精神的教養と高い科学的教養を身につけた数多くの優秀な指導者が必要なのであります。而して、これらの指導者は、従来若干部分を除いては、大部分が他府県より移入され、本道の自給度は極めて低いものであつたのでありますが、本道の真の開発のためには、大部分の指導者を本道自体に於て自給することの必要は言を俟たぬ所であります。茲に、綜合開発の高級指導者養成のため、大学設置の緊要性が強く主張される所以があるのでありますが、この問題を更に他府県、他ブロツクに比較する時に於て考えるとき、即ち全国他ブロツクの面積、資源等、従つてその重要性に対するそれらのブロツク内に於ける大学等の数と、本道内に於けるそれと比し如何に少いかを知るとき、愈々本道に於ける相当数の大学設置の必要性を痛感させられるのであります。然も、今や新しい精神と使命に立脚する新制大学が、全国的に発足せんとする時に当り、中央関係当局に於ては、本道に負荷せられました日本的使命と重要性に対す第2部 教育 第8章 高等教育1000
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