北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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制である。経済学部の経済学科は深遠なる学理の研究を特長とし、やがて経済界の優秀なる指導者の養成を目的とするものである。同部商業学科は実学に重きを置き他日実業界に雄飛せんとする人材の育成を任務とする。法文学部の法政学科は法律政治学を専攻し卓越せる法律家、政治家の輩出をめざしている。ここから指導的な官公吏の地位に向う者も尠くないであろう。同部英文学科では英米文学の教育に力を注ぎ、香り高い英米文化の教養を受けて将来社会文化方面に活躍する新時代の青年を養成せんとする。理想的な教育家、外交家の生まれるのもここからであろう。工学部の殖産工学科は時代の要求に叶う薬化学と醱酵学との実学的な教育を目ざす科で薬化学科専攻と醱酵学科専攻とに分かれる。東北・北海道を通じ此方面の学校が無いので恐らく本学院の薬化学科は全国的に特色有る存在となるであろう。殊に本道は全国有数の薬草資源地であるから製薬事業の発展からも頗る有望である。醱酵学科では所謂醸造に関する方面は勿論新時代の寵児たるペニシリン、ブタノール、アセトン、アルコール、有機酸等の研究と共に食品加工の実験研究なども行い学理と実際の両面から専門的な学修を特長とするものである。工学部の土建工学科は土建に関する一般理論は勿論特に寒地生活に必要な土木建築の研究に当り建築の知識を具備せる優秀な土建技術者の養成を目途としているもので将来平和日本の土木建築方面に寄与すること多大なるものがあろう。尚本学院に於ける教育の方針は各部科を通じて完全な   る綜合的な実学性を発揮し各専門的特徴を帯びた面も一面雄大なる文化社会人を養成しようとするものである。北海教育評論社『北海教育評論』Vol.三№七(北海道立図書館所蔵)一九五○年一○月4 北大教育学部への期待〔北大教育学部への期待〕第1節 新制大学1003

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