北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
1020/1232

今後道開発のために、全道の高校教員の給源たると同時に、高校教員の学術的綜合研究と指導の中枢たる役割を充分発揮してほしい。高校教育の低下と教員の不足は主として教員の有力な養成機関が本州にだけあつて、本道は従来それに依存するの外なかつたのによる。北大教育学部は之を解消し、多数優良教員を養成し、本道での自給自足の使命を果す実力を示してほしい。本道の気候風土に慣れた定着性のある教員をして、今後本道の綜合開発に資しうる教育としてもらはねばならぬ。この高校教員養成の唯一の中心的存在が北大教育学部である。そこで、この学部の内容の充実が必然的に要求される。宏大な学舎の建築と、内部設備の拡充と、教授の住宅建設が急速に実現せねばならぬ。つぎには、北大各学部を始め、本道の他の大学々部の学生中、将来教員を志望する者の教育関係教科の単位修得にも便するため、北大教育学部には多数のコースが置かれ、直接教授すると共に、こゝが中心となつて道内各大学に教授を派遣し、所定単札幌南高等学校長 山口 末一 位の教育ができるように、教授陣容を強化してほしい。夜間コースを開設し、通信教育を活潑化し現職教育にも大きな役割を演じなくてはならぬ。以上の要望に応えるためには、文部省の予算だけでは不充分且つ小規模の外ない。そこで此の際、北海道綜合開発計画中に教員養成機関の拡充を取り上げるように、開発庁と道議会と文部省に要請する必要がある。教育学部の機能を現地に即応して発展貢献させるには、道内高校の実態を学部が把握しなくてはならぬ。その方法は教育学部が主体となり、教養学部と提携し、積極的に高校と連絡を密にし相互の理解と協力を助長せねばならぬ。       最後に、教育に関する学術の研究と指導のために、普通ならびに実業の少くとも二つの附属高等学校を設置し、更に全道に於ける各種高校中から研究学校、指定学校の設定も急いで計画される必要があると思う。(北海道立図書館所蔵)第2部 教育 第8章 高等教育1004

元のページ  ../index.html#1020

このブックを見る