〈一九六四年〉北星学園大学50年史編集委員会『北星学園大学近い将来の数年にわたつて日本は全面的に大学進学希望者の激増をきたす情勢である。ことに北海道、わけても札幌のごとき中央都市では戦後人口の急増をしめし戦前の約三倍七十五万に達し、全道的にも約百五十万の増加をきたしている。一方また政府は北海道をもつて我国の資源開発と産業開拓に絶好の目標地と見做し、ことに内閣に北海道開発庁を設け尨大な国費の予算をもつて着々道内産業の振興に努めている。右の現実を想う時、当大学は当初発足の小規模のまゝの組織と形態では、到底将来への存立の使命は果しがたい。第一に莫大な数の大学進学希望者に門戸を備え得ず、第二には際涯なく求められる知識人と技能者とを世におくるによつて時代に貢献するに足る教育研究の機関に欠けている。こゝに北星学園理事会は慎重審議の結果、当大学に経済学部の増設を決議した。その理由は次のとおりである。従来の文学部のみの場合は、一、英文学科において比較的少数の文化人、教養人を養成し、これを教育界、その他の文化施設におくりうるのみで、その数は少く社会的活動も間接的である。二、社会福祉学科は社会機構の革新期において社会福祉事業は最も重要な役割を持ち、これに従事する者は適切な知識と技能を具備しなければならぬ。そのためこの学科の使命と存続とは当大学として極めて重要視する。しかしその卒業生は広汎な社会的要求のすべての部門にも該当するとは考えられない。三、経済学部を増設して社会のあらゆる組織と機能とに第二節 私立大学・公立大学の整備6 北星学園大学の経済学部増設趣意書〔北星学園大学経済学部増設趣意書〕 第2部 教育 第8章 高等教育50年史』二〇一六年1006
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