しつつ整備し得ることで、特に、本道のように美しい自然環境が保持されている地域では、その期待に応え得る諸条件をそなえていることが評価されるべきである。地域社会形成における大学の役割過去の歴史が明らかにしているように、地域社会の教育文化および生活環境水準の向上発展に大学は大きく関わってきた。これは大学が地域社会からの要請を受け入れてきたことによりなされたもので、大学が閉鎖的であっては、この役割は果たし得なかったであろう。従って、本道における教育文化等の中枢機能を担う新しい大学も、地域社会の要請を受容できるいわゆる開かれた大学となるべきである。このことは、大学が地域住民に対し指導的役割をもつことになり、単なる教育、研究機関としての場であってはならないことを意味する。このような大学では、地域住民との結びつきが密接となり、直接または間接的に、住民の知的、教育文化的レベルの向上を促すとともに、物的条件についても、大学の優れたキャンパス環境と周辺住宅地の環境が調和を保ち乍ら、全体として優れた大学地域社会(ユニバーシティコミュニティ)を形成する素地をつくり出すであろう。また地域社会に開かれた大学とするためには、公開講座、地域社会との共同研究など、大学側を中心とする働きかけばかりでなく、地域の要請を積極的に大学に伝達し、協議するための機関を設置するなど制度的検討も必要となろう。誘致促進期成会による設置構想をみると、その必要性 として、概ね次の四点が重視されているといってよいだろう。北海道開発庁企画室『函館圏における高等教育機能の現状と整備の方向』一九八○年(北海道立文書館所蔵)国立函館大学構想〔第6章 おわりに‐函館の現状と国立函館大学構想〕第2部 教育 第8章 高等教育11 (4) 1012
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