① 函館地区に)は、自然環境、歴史的・文化的風土、および交通の要衝となっており、大学立地環境に恵まれている。(立地環境の側面)② 複合大学がないために、道外、道央に進学せざるをえないので経済的負担が大きい。(教育機会の側面)③ 教員養成、地元経済界の指導的役割を果たす人材、および、国際人を養成しながら、地域発展に役立つ。(人的資源の側面)④ 地域と密接な関連を持ちながら、教育・研究活動を営むことのできる土壌にある。(地域社会との関連)第三の点について、函館市の大卒労働需要からみると、地元の大卒供給は、過剰どころか不足気味だといってよい。Uターン組で補充されているが、それよりも興味深いのは、道外出身者の就職流入組が、地方の採用パターンにしては、かなり多いことである。したがって、地元〈中略〉(ママの大学が地域に積極的に貢献する余地は十分残されていると考えるべきだろう。しかし、労働需要の多くは、サービス業と卸売業中心であり、製造業は極めて少い。工専の地元就職が極めて少いのも、こうした産業構造の特性が大きな理由だと思われる。したがって、工学部の設置は、地元の労働需要とは直接結びつきにくいといってよいだろう。今後とも、函館市は、第三次産業の高度化が主要な経済課題になると思われるから、その変化に即した大学専門分野を検討しておくことが大切である。特に、道南六○万人の生活の中心地域であり、センター機能を果たしているだけに、流通およびサービス産業におけるマンパワーの質の向上に貢献できることが望ましい。この他、次の二点を考慮すべきだと思われる。一つは、 何も地元だけの貢献にとらわれるべきでないから、より広く、国際的に活躍できる人材を養成することである。この点については、大学構想にもふれられている。いま一つは、水産ないし海洋開発への積極的なとりくみである。現在、北大水産学部卒業生の地元定着率は極めて少第3節 高等教育の課題1013
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