北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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2 アイヌの唄とアイヌ踊とうとう発表者となった。調査資料として、一、本校における指導教師の話しや学籍簿に目を通す。二、各アイヌコタンでの古老や青年たちの話し合いや、相川小・白老小・二風谷小での先生方との話し三、近文小三年生以上の学力テスト結果四、アイヌ児童特別指導をして五、家庭環境を調査して六、近文小に八年間勤務した体験から気がついたことなどを詳細にメモして大居先生に相談をした。発表のための原稿ができたがアイヌのことについてはじめての発表だけに、毎日がふるえる思いだった。発表当日は主人も、大居先生も会場で私の発表を聞いてくれたが何をどのように話したのかは覚えていなかった。 「ご苦労さん、よかったよ。先生方頷いて聞いてたよ」と、大居先生が話したが、いつまでも落ちつかず食欲もすすまなかった。その夜札幌である店内に入ったら、テレビがあり、偶然に私の発表が放映されたのを見た時私の体はすっかり釘付けになってしまった。この発表は大きく新聞に載り大きな反響となり激励の手紙がたくさん届いた。全国単複教育大会のレクリエーションに郷土紹介としてアイヌ踊が行われた。これはその土地近郊の人すらあまり見聞し得ないものであるが、その世話人であつた吉田菊太郎氏は現在町会議員、民生委員、社会教育委員をしているもとの首長である。〈中略〉北海道教育図書刊行会『教育新潮』三巻八号風車塔(十勝から)アイヌの唄とアイヌ踊(北海道立図書館所蔵)一九五二年八月1032        第2部 教育 第9章 アイヌと教育

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