北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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のであります。先般の緊急理事会では、速刻抗議行動を起こせとの声が全員から起こり、更に全道支部長会でも直ちに抗議するよう満場一致で採択されました。教育の領域だけでなく、道政においても、明治以降アイヌ民族に対する施策が、民族対策の視点から徹底してなされなかったが故に、今こういう結果を生んでいるものと考えざるをえません。行政の立場で過去のアイヌ対策が、民族対策の観点から一貫してなされてきたものであったかどうか、また、今後全道民に対して正しいアイヌ観を啓発するためにはどのような手段を以て行うかについて特に前むきの回答を文書によって、求めます。今後、このようなことのないように善処を求め、理事会、支部長会の意をうけて抗議いたします。昭和五十八年十一月十日社団法人北海道ウタリ協会  理事長 北海道知事 北海道教育委員会教育長に対しては北海道ウタリ協会は、先住民族であるアイヌの正しい歴史を教えることについては、主として学校教育現場をあずかる教職員の責任であるという考えを持つものです。このたび北海道ウタリ協会が入手した札幌市における高校生の社会科の授業内容のメモは、北海道の高校の授業でしかも社会科の教師という専門分野の立場からの言葉としてはアイヌ民族を侮べつし、かつ歴史の認識と教育の理念を疑う言動であり、腹の底から怒を感ずるものであります。先般の緊急理事会では、速刻抗議行動を起こせとの声  書     殿 が全員から起こり、更に全道支部長会でも直ちに抗議するよう満場一致で採択されました。北海道ウタリ協会としては、このような教師を採用し野村 義一 た北海道教育委員会の責任と今後の善処を強く求めると横路 孝弘 抗 議 社団法人 北海道ウタリ協会 1036第2部 教育 第9章 アイヌと教育

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