北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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1 北見農村の経済白書北見農村の経済白書新円成金の夢から覚めて心機一転〝一割増産〟に奮起終戦後の農村は都市の窮乏をよそに暖衣ほう食し新円がだぶついていると云われ、昨今は婚礼の豪勢さなど巷間を賑わしているが農村の実相は果してそんなに甘いものであろうか。最近農業指導者間には農村の荒廃につい終戦直後の農山漁村社会『北見新聞』(『プランゲ文庫(新聞)』所収)一九四八年三月二四日ての警告や議論が盛んになり、農民の間にも農村恐慌が真剣な問題として取上げられはじめている。先づ北見農村の実態を把握するために二十二年度の収支を各方面から検討し「農村は如何に立ち直るべきか」の結論を出したいと思う。ヤミ収入=農産物は割当が過重であつた為め所謂「()転   年は特に貧富の差が顕著になつたことは事実である。其落農家として逆に食糧の配給を受ける家が各町村とも二割ないし三割を占める状態で前年のように派手な暗売りは全く影をひそめた形である。然し「ないようである」のも現実の姿で某消息通は隠し反別などによる農産物の暗収入が一戸平均一万五千円は下るまいと見て居り、反別の多い富農はまだ相当の余裕をもつていると云う。本他の暗ではデンプン加工の製飴、ドブ〔(ロク〕製造など。これらは極めて一部の農家ではあるが収入は相当のもので冬期間に二、三万円の水揚げはあつたらしい。〈中略〉あの手この手ママ編者注)【農山漁村の生活】第一節 戦後復興期の農山漁村社会90第1部 社会・文化 第2章 農山漁村・炭鉱の生活【農山漁村の生活】(1) 

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