北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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6 札幌地区での新設を目指して増によつてもかなりの収容は見込み得るであろうが、相当数の学校が新設されなければとうてい収容し得ない。ここで、特に留意しなければならないことは、わが国の高等学校の普通科と職業科の生徒数の現状は、普通科五九に対して職業科四一の比であるが、将来の人材養成からみて四〇年をピークとする急増現象が次第に下降線をたどり四五年頃には三四年頃とほぼ同数の在籍生徒数となることを予め想定して、これを逆比ないし五対五程度にするよう努力しなければならないことである。とくに本道の産業は今後一〇年間の北海道総合開発の計画的実施により、農林、水産業の第一次産業を根幹としつつも飛躍的に重化学工業、製造工業等高次産業への転換が行われており、また第二次産業の進展に伴い第三次産業の進出も実現しつつある。これらの産業に直接従事する産業人の育成に当つては、現在普通科六六に対して職業科三四の比率であり、しかも昭和一六年以来二〇年の長期にわたつて道立職業高校の新設をみておらない実情にあるので、安易に普通科(大学進学率約二五%、その他はなんらかの形で職業に従事している。)拡充に重点がおかれた計画におちいつてはならない。本審議会は、本道産業教育百年の大計から特に中堅産業人の育成に関し、産業教育振興法第十二条の規定によつて、別記のとおり建議します。なお、これは本道内外の産業経済の諸情勢に対処して     課題であるとの見地から、高等学校生徒の急増にともな有為な中堅技術者を育成することは、現下喫緊の教育的う諸対策とは別個の発想に基づくものであるので、その具体化実現化については、迅速かつ適切な措置か講ぜられなければならないことを付言します。北海道産業教育審議会『北海道立工業高等学校新設に関する建議』一九六一年(北海道大学附属図書館所蔵)1072第2部 教育 第10章 職業教育・職業訓練・就職

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