ところで農村では、家族全員が働き、利子生活者や給料生活者と全くちがひ、自給経済と結びついた家族経済の中で、子供は消費もするが、収人も上げるのである。しかもその生活水準は概して低い。この様に考へて見ると農村自体の生活水準と教育が高まらなければ、これを実行することが非常にむつかしい、 といふことに結論されると考えられる。そこで、そのためには何うすればよいか、といふことになる。簡単に言うと、貧乏と子沢山とはつきものであることは昔から知つての通りである。だから生活水準を高める、言いかへれば、生産力を増強する、そして社会制度の上に、生活の保証を図ることが考えられ(ばならないとである。この様なことなしに産児制限を強行することは、相当考えて見なければならぬことである。次に本質的に言つて、法律や其の他で規定すべきものでないことである。勧カ勤()告がされていないということに気付かれるだらう。国マツカアサー元帥からも、このことについては特別な家的に見て何うしても制限しなければならない立場ならば、以上の様な条件を充足させた上でなければ効果が思う様に上らないであらう。産制を全く否定するのではないが、其の方法をあやまるときは、逆の効果があることについて、注意しなければならないと思うのである。(北見市M生)(北海道立図書館所蔵)93第1節 戦後復興期の農山漁村社会 ママ)
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