8 ある工業学科の閉科に当たってなどの進展は、生産・流通・消費にも多くの影響を与えつつある。高等学校における職業教育においては、本道の産業の特性を十分配慮しながら、中・長期的な展望に立って新しい知識・技術に関する教育内容を取り入れるなどして専門性を一層高めることが大切である。また、業務の複雑化や技術の高度化に対応するため、従来の学科の枠を超えた学習ができるようにするなど経済社会の進展に適切に対応できる人材の育成に努める必要があり、このため教育内容や教育方法の改善・充実に併せて、施設・設備の整備や教員研修について積極的な改善が必要である。北海道倶知安高等学校『倶知安高等学校工業科創立より閉科まで』一九八八年(北海道大学附属図書館所蔵)昭和三七年度以降の高校志願者の急増にともなう学級増につき、北海道教育委員会から原案が発表された。本校は三七年度から普通科課程一学級増の五学級編成となるのに加えて、三九年度から工業科二間口が増設されることとなった。この委員会原案の完成をもって、普通科・家政科・商業科と併せて四学科五科の総合制高等学校としての位置づけが決められた。さて、工業科の閉科にあたって、時代の趨勢とはいいながら、これまで地域の子弟教育に寄与して来たところ大なるものがあった。昭和五九年一一月五日、倶知安町では、間口減に反対する決議が提出されている。加えて同窓の白樺会も、機を同じくして、工業科一間口削減の案に反対する陳情がなされ、本校工業教育の果たしてきた地域の教育が断たれることの危惧を訴えて陳情しており、従来通りの募集継続を強く要望している。〈中略〉倶知安高等学校工業科設置より閉科まで1074 第2部 教育 第10章 職業教育・職業訓練・就職
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