北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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ある。同年(一九六一年)、北海道博物館協会(道博協)が発足して北海道立博物館の建設やアイヌ文化資料の収集・調査への取組を掲げるとともに(資料18)、学芸員の研修・研究機会の拡充、道内博物館(相当施設・類似施設を含む)ネットワークが促されていった。樺戸集治監(一八八一年)を活用した月形樺戸博物館(一九七三年に北海道行刑資料館として設置)など個性的な博物館が各地に見られる。ところで、一九七○年代になると、アイヌ、ウィルタといった先住民や、朝鮮人・中国人・「タコ」・囚人の労働の視点から北海道の「開拓」と近代化をとらえなおし、その事実の解明と、そこから何を学ぶかを提起する市民の学習運動としてオホーツク民衆史講座や北海道民衆史掘りおこし運動が展開した。資料19は、その起点となった市民講座「女性史入門講座」(北見市文化連盟主催、一九七三年)から発足した北見女性史研究会の機関誌創刊号である。また、これに先立つ活動として丸瀬布郷土史研究会(一九六三年発足)による郷土史資料集(第一集~第七集)の作成があった。資料20は、明治期に中央道路開削工事の最中に亡くなった囚人と思われる人々の墓所発見の報告文書である。自分たちの暮しの足元の土を掘り起こしながら、その歴史と向き合う郷土史の学習活動である。生活や地域の課題と向き合う住民の学習活動を支える社会教育行政において、その中軸となるのは職員(公民館主事、社会教育主事、図書館司書、博物館学芸員等)である。資料21にあるように社会教育活動に関わる自治体の職員もまた自主的な学習・研究活動を行うことが不可欠かつ重要との認識は、その後、広く共有されるようになった。第七節 社会教育職員1100   第2部 教育 第11章 社会教育

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