4 新生活運動の推進とその理念一 新生活建設の基本認識総合開発が資源開発だけに終るべきでなく、その究極の目標は「道民の生活水準の向上、福祉杜会の建設」に在ることは明らかである。しかして資源開発に当つても道民の理解と積極的参加がなければならぬし、道民生活それ自体の安定向上がなければならぬ。いわば総合開発は資源開発と共に生活開発がなければならないのである。 ここに問題の一切が存在しており生活開発に対する基本的認識の必要性がある。即ち講和後の容易ならざる経済的、社会的諸条件を克服し、新しい民主的な地域社会を建設するためには、北海道の環境に即応した生活文化施設の整備拡充計画を樹立し、これが実現を図ることはきわめて緊要である。北海道総務部新生活建設協議会事務局『新生活建設の考え方』一九五二年〈中略〉に関し最も合理的な生活様式を樹立し、生活文化確立のための新生活建設運動が道民の自主的活動を通じて期待されなければならない。かくして生活文化確立の具体的一歩として道民自らの中に萌芽した自主的活動を推進するため、既に道においては昨年「生活文化賞」の制度が設けられ、生活の合理化、生活様式の確立に与つて力のあつた人々を表彰して来たのであるが、更に福祉社会建設生活文化確立のために、今日の新生活建設推進対策が現われて来たのである。新生活建設を推進しようとするとき、まず第一に認識しなければならぬのは、新生活建設とは何かということである。北海道には既に道民が日々営んでいる生活があり、それは八十年の歴史に培われた生活である。それにもかかわらず新生活を建設しようとしているのである。そしてその必要性が総合開発が推進されている今日において特に強く考えなければならぬ理由が存するのである。97同時にそれらの内容を形成するものとして衣食住等二 新生活建設とは何か第1節 戦後復興期の農山漁村社会(1) (2)
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