北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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しかし指導する側は確固として強力です。「今やるのが得ですよ、今やっておかなければ後悔しますよ」もっとひどくは「ミルク道路を今つけないと牛乳運んでやらないぞ」などと言われたりして、結局指導に従わされてしまいます。話は変りますが、農家が機械、飼料補助剤(添加剤、ビタミン、蛋白、カルシウム、消化整腸剤)などを買わされる姿も同じようなものです。労働者に言わせれば「なぜ、それに従わなければならないのか、そんな不確かなものに従わなければいいじゃないか」ということになります、が うのです。 「どうしていったらよいのか なった 何をするにしても不安だ…みんなも迷ってる…」これが大部分の農家の声だと思われます。即ち、不安を感じ、迷っているのだが、かと言って当局の指導と違ったやり方でうまい方法が見つからない。いつまでも迷っていてはとりのこされてしまうようだし、結局 ある農民はこう言ほんとにわからなくるずると農協などの言う通りになってしまうのが現状のようです。これが即ち、当局の農政にまきこまれ、いわゆるゴールなき拡大とかカッパえびせん酪農にのめりこんでいく現実の姿のようです。のめりこんだ以上、首を切られないようけんめいに走り続けなければならないし、途中では機械、薬品、酪農資材業者、土建業者には十分もうけさせてやるということが起っていくわけです。不安を痛切に感じている別の人からこういう言葉が出   ず て来ました。「…うまくやっている奴ら自分らだけうまくやって…俺らにも少しはお知えてくれたらいいのに…」とひがみも含んだ言い方もするのです。実際にはどの農家もそれぞれに必死であり、それなりの迷いをもっているのだと思うのですが、相談し合わないからお互いに迷ってることに気がつかないでいるのです。以上のように、農民が、農業即ち自分の職業に見通しをたてれないでいるような現状があり農民が互いにバラバラにされていて、相談し合いながら見通しをたてていくにはむずかしい現状があるのです。それこそ夢も希望1129第4節 農村・農民の学習と教育

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