北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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〈中略〉はじめに北見近現代史講座・第五回における『北見の廃娼運動』昭和四十八年十二月二十六日、日本キリスト北見教会で、小池創造氏にピアソン夫婦と、野付牛支部婦人矯風会の「遊郭設置阻止運動」のお話をお聞きした。集まったのは、小池喜孝先生はじめ、一名を除く他全員が女性史研究会発足における強力なメンバーとなった八名であった。北見の「廃娼運動」の輪郭に女性史研究会として触れたのは、実質上この時がはじめてであると言えた。先に十月五日~十二月二十日まで開催された女性史入門講座で「べーベルの婦人論」を学んだが、その中で、何度か女性史研究会の発足が呼びかけられ、十二月二十日の閉講日に正式に呼びかけ、北見教会の集会となった。明けて一月五日第一回の準備会が行なわれ、会合が重ねられると共に、平行して「北見の廃娼運動」にとりくんだ。北海道の厳しい冬の季節、二度三度吹雪で会合が延期され、正式発足は、二月十六日と延びたが、その中で聞きとり、資料調べ、各自参加できる範囲で、歴史とは何なのかを、学んでいた。そして、私達は、女性史研究会の目的とする一つの柱を次のように話し合った。    「北見の地域に生きた女性達の生活の証言、記録等を通じて女性の歴史をさぐっていこうとするもの」であると。大きな仕事である聞きとりにおいて、私達が心がけなくてはならないことは、決して、現代に生きる私達の主観や感想に色づけされたとらえ方をしてはいけない。それは次の問題である。まず、私達が今しなくてはならないことは、ありのままの事実を、主観や感想でゆがめたりすることなく、先人達の話を、母の話を、長老の話を記録することである。私達は、彼等の代弁者であり、彼等の姿をそのまま後世に記録すること、まずそうした仕事の上に、新しい次の歴史を見る目というものが生まれていくのではないか。私達会員は「歴史とは何だろう」という、きわめて素1140第2部 教育 第11章 社会教育

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