似合つた家畜の導入が計画されたが、その結果山羊と、豚は全戸が飼育するまでに発展した。特に豚は草食飼育を行う外鶏も冬期間乾燥クローバーを粉砕して与え、充分なる経済効果をあらわしている。3.健康でより高い労働力を養うための食生活改善今までともすれば、バツカリ食に追われていた部落民は家畜が殖えてきたことによつて、豚肉はもとより、山羊廃鶏を村営の畜肉加工場において、びん詰又はかん詰として農繁期の貯蔵食に備えている。尚婦人部においては、昨年出来上つた共同作業場において、簡単な肉のびん詰や、野菜の加工びん詰、カルシユーム味噌をつくる等、農繁期といえども食膳を賑わしている。4.より豊かな再生産の場としての住宅改善半年は雪に埋もれるという、北海道独特の冬期間は零下三〇度という、酷寒に見舞われることも珍らしくない。これを克服し年間約四万円を要する燃料代を節減するために、既存家屋は、床、壁、天井は鋸くず又は、もみがら等を補てんし、窓は二重として保温につとめ、又新築家屋については、れんが又はブロツク等の近代的資材によつて建築し、特に婦人の働く場としての台所は、明るい、便利な施設に改造した。その進捗率は全部落戸数に対して、約六割に達している。又この陰には、婦人の貯蓄運動と、これを無尽式で融通した功績は大きい。5.明るい清潔な家庭、部落をつくるための環境衛生 所、堆肥場の尿涌を整理し、簡単に殺虫剤をもつて防除出来る体勢をつくりあげた。然しこの環境衛生は、全村的に実施しなければならないものであつて、その徹底化は今后も大きな課題となつている。6.家庭生活と社会生活の民主化を高めることであり、その方法としては、家族会議を必ず実行することを約し、現在では各家庭において相当効率をあらわしている。このことが、やがて組合活動に反映先ず蚊と蝿の発生源を撲滅するために、流し尻、便農事組合活動の基盤をなすものは、この民主化する101第1節 戦後復興期の農山漁村社会
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