北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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してほしいと思う。なやみのたねはせまいこと保母さんの夢だけは広い 「ジヤンケンポン‼」 「あつ、こんどはケイ子さんとイサムちやんの番よ」 「わアー」という歓声が窓の外まできこえてくる。室内遊戯の時間らしい。そつと教室をのぞえてみる。いるわいるわざつと三百人あまり。赤、黄、青、緑……それぞれ可愛いいアツプリケの洋服できちんとお坐りをしている。保母さんが五、六人、ポツリポツリと中に入つて、いまジヤンケンのけい古らしい。ちよつとあいさつして保母さん新幌内礦保育園をみる一九五三年九月の部屋にまわつてみる。 「なかなか大へんでしよう」 「ちようど今日は雨なものですから、室内でお遊びしていますが、少し教室が狭くつて……、この通りとびまわれないでお坐りの状態です」と残念なようす。   「児童心理と申しますか、そういう点で何か…」妙に 「お子様がたをお預りして、どんなことをモツトーにしていらつしやいますか」 「主に就学一年前のお子様を対象として預つておりますが、やはり園児たちそれぞれの個性を自由に伸ばしていくように心がけております。しかし放任ということではもちろんございませんが……」堅苦しい質問ばかりがでて、少々あわてる。 「そうですね、保母の感情の動揺が容赦なく幼児に影響いたしますので、とてもこわいことがあります。たまたまヒステリツクになつたときなど、落ちつくのを待たないで幼児に接しますと、いじけたり、反抗したり……。11552 新幌内礦保育園北海道炭礦汽船株式会社『炭光』七一号第1節 1950年代までの幼稚園・保育所の状況と乳児福祉の整備

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