北海道では民生部長から道教育長あてに「義務教育過()程にある児童が教護院入所と決定した場合、現に在籍する学校に在籍のまま、教護院に学校教育を委託するものであるとの見解を採って戴きたい」と要請し、教護院入所をもって保護者の就学義務を猶予するが、小(中)学校卒業時期に教護院長の発行する小(中)学校「過()程修了証明書を指導要録と共に出身校に送付すること」で当該小(中)学校では卒業証書を発行するという方式を採用した。教護院在籍児童を「教護院の行っている教育は立法に基づくもので、字義通り公教育と称すべきもの」という考え方に立つものである。高度経済成長を経て社会が大きく変化するなかで、少年非行は社会問題として耳目を集めていたが、他方、少年院や教護院は、定員充足率が低下し続けていた。法務省では少年院に短期処遇を導入し矯正教育のあり方を改革し、厚生省においても教護院改革が模索されていた。教護院の状況について報告した記事の一部である。男子を対象とする道内の三教護院の定員充足率の推移を示すグラフが掲載されている。道立の二教護院の定員充足率が低いことが分かる。このような状況を踏まえ、道では「今後の教護院についての検討委員会」を発足させ、そこでの検討を経て、一九八一(昭和五六)年、道立日吉学院と大沼学院が統合され北海道立大沼学園となった。資料6は、全国教護院協議会が刊行する『非行問題』の編集委員が道児童家庭課と中央児童相談所を訪れ、道内の日吉学院閉院ママママ第三節 少年矯正・教護事業における制度改革の動き1173(1) 解 説
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