特集 北海道探訪㈣(編集部)児童家庭課と中央児童相談所を訪ねて日吉・大沼両学院での話しの中に統廃合の問題がふれられたが、このことを頭に置いて、児童家庭課ならびに中央児童相談所での話しを進めた。この統廃合の問題は、日吉・大沼学院の近年の充足率の低さが議会で取り上げられたのがその発端となったのではなかろうか。そもそも、日吉・大沼と道南の一時間ほどの距離に二日吉学院閉院全国教護院協議会『非行問題』一七八号一九七九年一月つかたまって存在しているのは、当時としてはそれなりの理由があったに違いない。大沼学院については、感化院からそのまま教護院となったが、日吉学院については、(各教護院を回って聞いた話しによると)一つには、当時函館には売春婦がたむろし、地元の婦人達の運動として、この人々の厚生施設を造ろうというものがあった。そしてそれが、教護院に方向を変えたというもの。二つめは、空知管内の炭鉱に非行児が増加したために、函館に新しく教護院をつくり、大沼学院を空知管内に移そうということであったが、計画を立てた上層部の異動で移転が立ち消え、道南に二つの教護院が残ったというもの。三つめは、本州に渡るために出てきた家のない子供達が函館に居座り、また、函館港が引き(上げ者の港となり浮浪児があふれ、大沼学院だけでは収容できなくなってしまったというもの。説はいろいろあるが、いずれにせよすでに当時の使命は果されてしまい、結果的に道南に二つの教護院がかたまってしまった。ただ、道南に二つというのは地理的なバランスの問題だけではなく、広い地ママ)第三節 少年矯正・教護事業における制度改革の動き6 道内教護院における充足率の推移1186第2部 教育 第13章 少年司法福祉 (1)
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