のままで、法が憲法違反の疑いがあるなどという抽象の論議で、行政がその施策を変更しようとすることは容易なことではないという認識を持っている。宮城県立さわらび学園はすでに公教育を導入している施設として、次のような意見をよせられました。本学園に公教育(旗立分教室)が導入されて(昭四八・四・一)から、この四月で丸二○年になります。私が昭和六三年四月に赴任してから、本校(人来田中学校)の校長は二人目、分教室の教頭は三人目です。そんな経験のなかから、思うところを述べてみます。なんといっても、本校の校長の教護院に対する理解度、 ことです。いまの校長は三年目になります。二度の人事熱意、それからお人柄に分教室教員の充実度が左右されます。人事異動の権限をもっているのですから、当然の異動で、かなりいい教職員を揃えてくれました。校長の異動に、教護院側では口を挟めませんから、長い間には当り外れもあるでしょうし、分教室はその影響を受けることになります。同様のことが、分教室を指揮する教頭についても言えます。児童にとって学園と分教室と、かなり異なった雰囲気と対人関係のなかで生活することは、とてもよいことであると感じています。分教室導入によって、福祉と教育という互いに独立した二つの組織が同一の入所児童に関わるところに、問題の根源があると思います。学園と分教室という現場レベルを越えて、県の福祉担当課の人事担当係と分教室が所属する本校を管轄する教育委員会の人事担当課のレベルでの、教護院についての深い理解がなければ、望ましい児童処遇は持続しないと思います。そして、このことは、かなり困難なことであると考えます。私は右の各県のご報告を先ず私たちの地区のありのままの現況として紹介しました。さわらび学園の報告は右に倍する長文のもので、分教室の経験を率直公平に述べて下さり、極めて有益で私は深い感銘を受けました。制度の改変というものは大変なことであり、いづれにせよ、1193第3節 少年矯正・教護事業における制度改革の動き
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