ようやく『北海道現代史 原稿を前にし、完成した喜びよりも、「これでよかったのだろうか」という不安の方が大きいというのが正直なところです。資料の提示に重点を置くという北海道史としては初めての試みである上に、担当した「社会・文化」という領域が、とても広いということで、盛り込めなかった分野もたくさんあるからです。令和元(二〇一九)年に資料収集の活動が始まってまもなく、新型コロナウイルス感染が広がりをみせましたが、比較的落ち着いている時期に二回、小部会の全体会議(調査研究委員一〇名、調査研究協力委員三名)を持ちました。その際、問題になったのは、全体をどのように構成するのかという点と、それに大きく関わる戦後の時期区分をどう設定するかという点でした。当初は、他県ですでに刊行されていた資料編を参考に、まず時期を区分し、その時期ごとに、各領域の資料を配置するという方向が有力でした。「社会・教育・文化」部会として、経済的視点から四つに時期区分することを提起しましたが、これには多くの委員が反対しました。反対意見の一つは、担当する分野の時期区分が必ずしも経済的な時期区分に適合しないこと、もう一つは、時期区分ごとに資料を配置すると細切れになってしまうという点でした。また、時期区分に対しても、北海道の戦後史に適した独自の時期区分を検討すべきだという意見が出されました。結局、その場で結論は出ず、資料収集を進めながら再度検討するということになり、最終的には、本書の目次にあるような分野別に編集するかたちとなりました。経済的時期区分が適合する分野に関しては、「戦後復興期」「高度経済成長期」「高度経済成長期後」という時期区分が用いられています。時期区分については、前回の『新北海道史』でも、今回の『北海道現代史』でも議論になってきたところであり、今後発行予定の通史や概説でも検討課題となると思います。第一部社会・文化は一三の章から構成されており、大きくは前半部分が社会、後半部分が文化となっています。 資料編3(社会・文化・教育)』を上梓できるところまでたどり着きました。完成したあとがき1200
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