うど子供をお風呂に連れていこうと友達と話していて、そしたらお風呂だめなんだって、なんかお湯止まってるよって。なんでなの?と思っていたら、四時過ぎ位に事故だってわかったのね。会社は流さなかったのね。事故だっていうことを、ギリギリまでね。それで、うちのお父さんは、救護隊の訓練して、救護隊だったから、四時過ぎかなぁ、バァーっと戻ってきて。バイクで通ってたからその頃、で、救護服持って、またすぐ行ったんだよね。で、結局、あの全部救護するまで、最後の最後まで、中に入って。だからお父さんは本当は、あんまり言うの嫌がるけど。ほんとに大変な遺体とかも見てきてるし、手がないだとか、頭がないだとか。ほんと戦場、戦場みたい。きっと戦場ってこんなもんだろうな、ってしばらくしてから友達と(話を)してたんけど。だから私たちも、救護に入ってるから、いつどうなるかわからないから、本当寝ないで、友達と二人で。うん、心配で。で、帰ってきたのが、次の朝十時だったかな。帰ってきたんだけども、ダーっと二階上がっちゃって、おいおい泣いて。まぁ男泣きっていうのかな。あぁいうのは。でも、みんなそうだったみたい、救護隊に入った仲間はね。ほんっとに仲いい青年部、一緒に芝居〔(サークル活動〕手伝ってくれた仲間たちも、逝っちゃったし・・。あとね、あたしも知ってる人も、助けてもらったり、よく声掛けてもらった人も逝っちゃったし―。だからそのときの事故は、やっぱり、すんごい本当頭に焼き付いて。お寺なんかもないから、結局、そんな人数的に無理だから、自分の家で出すんでしょ。そしたら、隣のうちもそうだし、こっちの家もそうだし、端っこの家もそうだし、裏もそうだし、とかって、本当ね、みんな真っ黒け。服装も全部、カラスみたいっていうか、本当に町中が。あんまりお父さんは言わないんだけども、ガスだったからきれいだったんだって。その人はね、土をこうやってギュッと握り締めて。うん、あぁきっと生きたかったんだなぁって思ったよ、ってお父さんは言ってたけどさ。やっぱりそういう現場をさ、いっぱい見てきたからね、あんまり喋らないけども。重みっていうかさ、すさまじ編者注)160第1部 社会・文化 第2章 農山漁村・炭鉱の生活【炭鉱の生活】
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