いものがあるんだと思うんだ。やっぱりそういう所を見てきているでしょ、炭鉱マンっていうのはさ・・。救護隊の人が遺体を引き上げるんだよね。もうそのまんま。この時はみんな遺体を一応上げた。だから、例えばあの、腕がないだとか、足が切断されてるだとか、いろんなのがあるんだけど、でもそういうのは怖いって思わないって、全然。今上げてあげるからなって、一緒に上がろうなって、そういう声掛けで上げてきたって言ってたんだよね。だから、そういうのって、すっごい、なんていうんだろう、仲間意識。うん、すごいなって思うんだよね。私は、そういう風にできることっていうのがさぁ、うーん、仲間を大事にしてたんだろう、仲間をやっぱり意識してたし、大事に思ってたからこそ出来ることなんだろうなって思って。炭坑最後の日、長屋の取り壊しお父さんが勤めていたのは、ほんっとに夕張の最後の〈中略〉〈中略〉炭鉱。坑口まで出迎えに行って、ほんとに出てくる最後の時だったんだけど。二番方で上がってくるときかな。迎えに行って、何とも言えなかったよ。感激っていうか、なんていうんだろう、ご苦労様っていう・・。南大夕張に住んでいたところは、今は野っぱら。自分の家が壊されるのを見るのは嫌だったんだけど、なんかわざわざ見に行ってね。友達の家に最後の日に泊まって、みんなで落書きして、ありがとうとか、子供たちに思いっきり落書きさせたりだとか、一杯思い出作って、そしてお別れしたっていうか、うーん、ガガガガガーって崩れていくのを見て・・。〈中略〉(北海道立図書館所蔵)161第3節 閉山の進行と炭鉱生活
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