北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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日本民族学協会学会誌『季刊民族学研究』が報 7 •じた「アイヌ綜合調査」の計画究」学界消息アイヌ民族綜合調査の計画日本民族學協會はアイヌ民族の人類学的民族学的綜合調査硏究の必要を痛感し、その具体化をすゝめている。アイヌ民族については、従来幾多貴重な調査研究が行われて来たが遣憾ながら、未だアイヌ民族の人種的民族的系統、アイヌ民族固有文化の本質は充分に解明されたとはいえない。アイヌの人類史における地位については、人類学及び民族学における当初からの大きな問題であるが、依然として謎として残されているのが現状である。日本民族學協會『季刊民族學研究』一五巻一号一九五〇年八月人類史における一つのミッシング大陸の人種的文化的交流の問題として、またアイヌ民族と日本民族との関係の問題として、内外人類学民族学界の大きな関心の的となつている。しかもアイヌ研究は、国際的にはわが国学界に委せられた課題とも云うべく。一方混血或は異文化との接触混淆に依つて、アイヌ民族固有文化は急速に消滅しつゝあるのであつて、速かに人類学的民族学的綜合調査を遂行しないならば、遂に永遠にアイヌ文化の究明は不可能となるかも知れない。また他方純粋アイヌ民族の人口は減退の傾向を示し文化的、社会的、経済的条件も決して恵まれたものとはいえない。アイヌの福祉政策のためにも、その基礎的資料として急速かつ広汎な社会人類学的調査研究の必要が痛感されている。協会は広く人類学者民族学者の協力、また学術会議人類学連絡委員会の賛同を得て、アイヌ民族の民族学的及び社会人類学的綜合調査を組織し、今後数年に亙つてこれを遂行したいと考えている。いずれ計画が具体化するに従い、本誌上において報吿する予定である。リンクとして、新旧第1節 戦後改革・制度整備期の生活と文化237(4) 「戦後民主主義」のなかの「アイヌ研

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