9 北海道による「不良環境地区対策事業」不良環境地区対策の推進について道内における旧土人を中心とした不良環境地区五一地 (理 由)域に対する生活環境改善施設の整備を図りたいので国費助成の措置を願います。旧土人関係道内における旧土人は徳川幕府の封建制度のもとにおいて、松前藩がとつた身分性)の最下低にあつて、且つ居住地域の限定と職業及び風習を強制された事が多かつた。生活実態とその調査事業北海道民生部『不良環境地区対策の推進について』一九六〇年(ママこのような因襲が強く影響し、今日のような不良環境地区を形成したものである。このような特殊環境地区を改善し生活の向上を図るため、明治三十二年北海道旧土人保護法が制定され、その施行により旧土人に対する勧農、教育、救助、救療その他福祉対策が講ぜられたが、新憲法の制定により人種・信条・性別等による差別処遇の撤廃されることになり、特別な行政措置が解消され、同法による給与他)の所有権移転に対する制限措置を除き、他は一般の社会福祉関係法にゆだねられ今日に至つたのであるが、依然として特殊地域集落的生活環境にあつて経済的な低位性と生活慣習によつて生活環境の劣悪・高い疾病率等大部分は一般に比較し極めて低位の生活を余儀なくされている現状である。最近本道に於ける二〇世帯で一〇〇人以上の旧土人を中心とする集落地区の調査によると、その数は五一地区で延四、〇七六世帯二〇、二五五人が数えられている。就業状態においては農業従事者が一番多くこれに次ぐものは日傭労務者で無職と併せて総数の二八・九%を占め勢(ママ第二節 高度経済成長期の生活と文化第2節 高度経済成長期の生活と文化239(1)
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