① 道の通達『北海道公報』六六三八号一九五五年三月一〇日北海道による「クマ祭り」の「禁止」② 通達を報じた新聞記事でもユーカラをうたえる人というのは三、四人しかいないと思う。同女はユーカラだけでなくカムユーカラ(ユーカラが人間についてうたうのに対し、カムユーカラは祭のときなど酋長が演ずるしぐさに合せてうたう叙事詩で、神様についてうたう)の造けいも深く、私も同女についてずい分いろいろなことを教わったものだ。とにかくアイヌ人やその歴史を知るうえに貴重な存在です。三〇畜第四七一号 各支庁長各市町村長熊祭について昭和三十年三月十日北海道知事 本道の熊祭はアイヌ民族の宗教儀式として彼等の生活文化を形成する要素となつていることは是認されますが、次の事項は社会通念上又は教育上からみて好ましくないので留意するよう指導するとともにアイヌ民族の生活文化を高め倫理観を養い道民生活の向上を図るため、生きものを憐み殺すに忍びない気持が熊祭の形式の上にも表われるよう指導して下さい。一 生きた熊を公衆の面前に引き出して殺すことは信仰上相当な理由があるにせよ同情博愛の精神にもとり野ばんな行為であるから廃止されなければならない。二 熊が次第に野性を現わして飼育困難を加える一方食用に供するためのと殺については公衆の面前をさけ一定の場所で行われるよう措置されたい。三 熊祭の行事中にある熊のさらし首についても廃止さ田中敏文 れなければならない。『北海道新聞』一九五五年三月一六日13 第2節 高度経済成長期の生活と文化251
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