統音楽収集整備計画」日本放送協会札幌中央放送局による「アイヌ伝〝クマ祭り〟を禁止 本道観光上特異なものとして内外に宣伝されていたアイヌのクマ祭りがヤバンで動物愛護の精神に反するとの見地から知事通達によつて大衆の面前より姿を消すことになつた。アイヌ民族の宗教的儀式として存在していたクマ祭りが戦後次第に残虐性を売りものとする見世物化して、日本動物愛護協会の抗議をはじめ、一般の人々の間にもとかくの批判が高まり、野放しにしておけなくなつたので、道ではこのほど知事名で各市町村長、支庁長あて一、生きたクマを公衆の面前に引出して殺すことは同情博愛の精神に反するヤバン行為であるから廃止しなければならない。二、クマが野性をあらわして飼育困難になつたり、また食用に供するため殺さなければならない場合は一定の場所で行われるように措置されたい。三、クマ祭り行事中に行われるクマのサラシ首についても廃止しなければならない。道で通達との通達を発し、道警にもこの通達に対する協力を要請した。また公衆を対象にしないクマ祭りの場合でもクマを殺さない形式にあらためるようアイヌたちを指導する方針である。現在あちこちで行われている見世物的なクマ祭りの廃 止については賛成だ。夏の宗教的儀式としてアイヌ民族間だけで行われるものに対しては干渉できないだろうし、また無形文化財保護の意味でも何らかの形で残しておきたい。この場合は残酷性を除いた舞踏の一形式か、お祭りのふん囲気だけでいいだろう。観光的にもやはり残酷さを除いた良心的なシヨウにすべきではないだろうか。北大高倉教授談〔日本放送協会〕札幌中央放送局『「アイヌ伝統音楽」収集整備計画』一九六一年第1部 社会・文化 第4章 戦後社会の中のアイヌ民族の生活と文化14 252
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