北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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1 趣 北海道アイヌの世帯および人員数は、昭和三五年三月末現在三、五六七世帯一七、二〇〇余人であるが(道民生部調べ)、このうち純粋アイヌと呼ばれるものの数はきわめて少なく、かつ急速に失われつつあるのが現状である。これらの純粋アイヌが伝承する民族歌謡は、民族自体が言語の音標記号を持たないため、その伝承方法は口伝によるほかなく、このためアイヌ古老たちの死亡とともに、これまた急速度に失われつつあり、今や滅亡寸前の状態にある。しかるにアイヌ民族歌謡は、学術分野における比較音楽学ないしは民族音楽学の見地からも、世界的文化財としての意義を持つものであることが、すでに世界の学界において認識され、その本格的な調査研究が期待されている。ここにおいて、本計画はこの世界的音楽文化財を正しく記録保存し、わが先住民族の貴重な文化遺産を後世に伝えるため、道内関係方面の協賛を得て、これらアイヌ伝統音楽を広く調査収集し、録音物および文書記録により総合的に集大成し、ラジオ、テレビ放送を通じ国民に還元するとともに、世界のアイヌ伝統音楽調査研究の一助としようとするものである。なお、本計画は昭和三六年度を初年度とする三カ年計画とし、三八年度中に調査収集および報告書「アイヌ伝統音楽」の原稿執筆を完了する。2 道内のアイヌ居住部落は五一地区あるが、第一および     旨  理統合をおこなう。二年度の主力を調査収集にそそぎ、最終年度において整(報告書の刷成については第四項参照)委員会の設置本計画の完すいを図るため、道内関係方面および専門学識者による委員会を設置する。ア、アイヌ伝統音楽収集整備諮問委員会実施要領(五十音順、敬称省略)第2節 高度経済成長期の生活と文化2531) 

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