アイヌ文化は、北方圏諸文化解明のカギを握るといわれ、広く世界から注目されており、北海道教育委員会は、従来からその記録保存に力をつくしてきた。昭和二九年、記録をした映画『アイヌの古式舞踏』、『ベカンベ祭』などは、いまでは貴重な資料になっている。また、昭和三七年からアイヌ文化保存対策協議会を設置し、録画・録音保存、ききとり調査等を行い、その一部は『アイヌ民族誌』(第一法規)や、当教育委員会発行の文化財シリーズの中に収められている。さらに、以上の保存事業に続いて、昭和四八年から〝アイヌ言語採録事業〟をすすめてきた。この事業は、昭和四七年の、北海道文化振興審議会からの、「北海道の文化を高めるにはいかなる施策を講ずるべきか」についての答申にもとずくものであり、五〇年からは、文化庁の補助を受けて事業内容の一層の充実がはかられた。本書はこの事業について実績報告書として刊行するもので、広く関係者各位に利用されることを期待するものである。本事業については、北海道ウタリ協会、アイヌ無形文化伝承保存会、網走市立郷土博物館、市立旭川郷土博物館、釧路市立郷土博物館、平取町二風谷アイヌ資料館などから協力をいただいた。記して感謝するものである。昭和五一年三月北海道教育委員会 教育長 気境公男 (北海道立図書館所蔵)第1部 社会・文化 第4章 戦後社会の中のアイヌ民族の生活と文化 256
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